Innovation in Vacuum Busch Award 2018の受賞者はLapierre

2018年の「Innovation in Vacuum Busch Award」が、カナダの企業、Les Équipements Lapierre（Lapierre Equipment Inc.）に贈呈されました。BuschのMINKドライクロー真空ポンプを採用することで、同社はメープルシロップを樹木から直接取り出す方法を劇的に変更し、メープルシロップの製造プロセスの効率を大幅に改善しました。

Innovation in Vacuum Busch Award

Busch Vacuum Solutionsは、毎年「Innovation in Vacuum Busch Award」を発表しています。これは、真空テクノロジーの革新的な応用方法を考案し、その結果として人や環境にプラスの影響を与えた個人または企業に贈られる賞です。「Innovation in Vacuum Busch Award」は、Buschの50周年を記念して2013年に創設されました。

Les Équipements Lapierre

Les Équipements Lapierreは、1978年にDonald Lapierre氏によって創立されました。Lapierre社は、カエデの樹液を樹木から取り出し、回収して処理し、メープルシロップを製造するために必要なあらゆる装置およびアクセサリーを製造しています。また、同社は、世界最大規模のオーガニックメープルシロップ農園も運営しています。毎年約150,000本のカエデの木から樹液を取り出しているほか、この施設はLes Équipements Lapierreの研究開発センターとしても活用されています。1970年代までは、カエデの木に穴を空け、そこに金属製の管（蛇口のようなもの）を差し込み、木から流れ出た樹液をバケツで回収していました。Lapierre氏も、創業当時はこの伝統的な方法を採用していました。しかし、従来の樹液回収方法に不満を感じ、プロセス全体を変えるという決断をしました。

カエデの樹液を採取するための真空

Lapierre氏の父親は、すでに非常にシンプルな真空システムを利用していましたが、それはさほど効率的ではありませんでした。そこでLapierre氏は、プラスチック製のチューブと栓に変更し、特許を取得した抽出装置（樹液採取器）を発明することで、そのシステムを改良しました。これらの発明により同氏は、バケツで樹液を回収するのではなく、木から樹液を抽出する配管網と真空システムを構築しました。これには2つの大きな利点がありました。まず、1日に何度もバケツを交換することなく、カエデの樹液をより迅速に回収することができます。2つ目は、この装置で使用した差し管は従来のものよりもはるかに小さいため、カエデの木の回復も早くなるという点です。バーモント大学のメープルリサーチセンターは、真空テクノロジーの利用が樹木に及ぼす影響をテストし、シロップの品質について調査しましたが、その結果、樹木の健康にも、シロップの品質にも悪影響がないということが分かりました。

Buschの真空ソリューション

このシステムの唯一の欠点は、Lapierre氏が当初採用していた真空ポンプ（水封真空ポンプおよびオイル潤滑ロータリーベーン真空ポンプ）でした。Buschの専門家がこの問題に対する解決策を見つけ、同氏にMINKドライクロー真空ポンプを紹介しました。これらの真空ポンプは、作動流体としての水やオイルを必要とせず、効率的でクリーンなドライ式の真空を提供し、理想的な結果をもたらします。さらに、実質的にメンテナンスフリーで利用できます。

このような革新的なコンセプトにより、Les Équipements Lapierreは、メープルシロップ業界に新たな基準をもたらし、品質、風味、および環境に配慮した製造という点で期待を上回る高級メープルシロップの有力メーカーとなりました。

2018年の「Innovation in Vacuum Busch Award」は、ドイツのマウルブルクにあるBusch Vacuum Solutionsの本社で、Ayhan Busch、Sami BuschおよびKaya Buschにより、Donald Lapierre氏とその家族に贈呈されました。