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出典:Busch Vacuum Solutions

CNCルーターの真空ポンプ:修理か買い替えか

包括的な手引き

CNCルーターの真空ポンプに不具合が生じた場合、選択肢は、修理か買い替えかの2択となります。この手引きでは、それぞれの選択肢を解説し、修理をお勧めするケースと買い替えをお勧めするケースをご案内します。また、システム故障の前兆を特定し、診断する方法についてもご紹介します。

まず始めに:
診断と意思決定

どのような対処を選択するかにかかわらず、真空ポンプの修理または交換を決定するステップは、必ずテストと診断から始まります。真空ポンプのサービスの専門知識を持ったサービスエンジニアが装置を入念に点検し、根本的な問題を特定します。その一例を挙げると、専用機器を使用した真空ポンプの圧力と流量の測定や、モーター、ベアリング、バルブ、シールなど主要コンポーネントの摩耗や損傷の点検です。

修理

真空ポンプが修理可能な場合は、故障した部品を取り外して交換し、ポンプをメーカー仕様の状態に戻します。
メリット
  • コスト効率:問題が軽微であったり、真空ポンプが比較的新しかったりする場合、交換するスペアパーツが少なく済むことがあります。
  • 環境への影響:使用される資源と廃棄物が削減されます。
デメリット
  • 長期的なコスト増加の可能性:修理が難しい問題の場合は、真空ポンプのトラブルが再発する可能性があります。
  • 特定の問題のみを解決:真空ポンプの修理は、将来、新たな問題が発生しないことを保証するものではありません。

買い替え

真空ポンプを買い替える選択をした場合、既存のポンプを取り外し、新しいものを取り付けます。
メリット
  • 高い信頼性:新しい真空ポンプは部品も新しく、エネルギー効率も向上している可能性があります。
  • 新しい保証:新品には新しい保証が付き、安心してお使いいただけます。将来の修理コストも低減できる可能性があります。
デメリット
  • 初期費用:新品の購入にかかる費用は、修理より高くなります。
  • 導入に時間がかかる:軽微な修理と比較し、新品の設置と統合には時間がかかる場合があります。

重要な考慮事項

真空ポンプの修理か買い替えかを決める前に、重要な基準となる5つの項目を検討することが大切です。
1) コスト
既存の真空ポンプの問題が軽微であれば、修理が経済的な選択肢かもしれません。しかし、長期的なメンテナンスと修理コストも考慮する必要があります。たとえば、真空ポンプが古くなればなるほど、頻繁なサービスが必要になる場合があります。このため、直ちに多額の支出が必要とならないまでも、時間が経てば買い替え以上にコストがかさんでしまう場合もあります。

例:
CNCルーターで真空ポンプの故障が発生した場合は、真空ポンプのメンテナンス履歴と故障レポートを確認します。過去6~12か月間の作業および部品費用を評価し、そのポンプの性能について運転管理者と相談します。

過去1年以内に真空ポンプに複数の故障が発生し、スタッフから軽微な問題や苦情の声が上がっている場合は、その装置の耐用年数が終わりに近づいている可能性があります。

修理コストの計算:

真空ポンプの修理部品のコストは3,000米ドルと仮定します:その他に人件費として1,000米ドル、さらに運転ダウンタイムのコストとして1,000米ドルを想定します。この場合、修理にかかる費用は、合計5,000米ドルとなります。

問題が起こり始めてから2年間で真空ポンプが4回故障したとすると(つまり、平均して1年に2回の故障)、この真空ポンプのメンテナンスには年間で最低でも10,000米ドルのコストがかかると想定できます。

また、真空ポンプのタイプごとの長期的なメンテナンスコストの違いを考慮する必要もあります。もしお使いの真空ポンプがベーンタイプで、ベーンの早期摩耗が発生している場合、他の真空テクノロジーのポンプに切り替えることでコストを削減できる可能性があります。たとえば、ベーン、フィルター、オイルの交換頻度が高いでしょうか?その場合、ドライクロー真空ポンプをご検討ください。このタイプは定期的なメンテナンスが必要なベーン、オイルフィルター、プロセスオイルを使いません。
2) プロセス要件
既存の真空ポンプが、プロセスに最適な選択肢であるかどうかを評価します。真空ポンプが常にフル稼働していたり、需要を満たすために予備ポンプがいつも起動している場合、そのプロセスに対するポンプの能力が不足している可能性があります。この場合は、買い替えが合理的なオプションです。そうすることで製造の遅延を回避し、最適な品質と性能を維持することができます。
3) サービス履歴
以前にも同じ問題が発生していますか?過去のサービス内容を確認してみてください。シール、ガスケット、ベーンといったスペアパーツの交換など定期的なメンテナンス作業以外で、大きな問題が繰り返し発生する場合、修理は最善の選択肢でない恐れがあります。
4) エネルギー効率
多くの新世代の真空ポンプは、従来品よりエネルギー効率に優れています。たとえば、ドライクロー真空ポンプは摩擦がなく、モーターも高効率です。したがって、既存の真空ポンプを、消費電力の少ないものに買い替えることで得られるベネフィットを考慮するべきでしょう。既存の真空ポンプと最新テクノロジーの消費電流の差によっては、エネルギーコストが大幅に削減される可能性があります。カーボンフットプリントも同様です。
5) 技術的特徴
最新技術を取り入れた真空ポンプをご検討ください。最新の真空ポンプは、CNCルーターのプロセスに有益な、新しい技術的特徴を備えているのではないでしょうか?もしそうならば、投資に最適なタイミングかもしれません。お使いのポンプに、ECOTORQUE可変速ドライブや、真空ポンプの高度なモニタリングを可能にするOTTOデジタルサービスなど、機能を追加することも可能です。

ただし、ご使用のポンプの年式によっては、これらの新しい機能と互換性がないものもあります。この場合は、プロセスの最適化の機会を逃すことになりかねません。したがって、これらのオプションがお使いのプロセスにとってどれだけの重要性を持つかを検討する必要があります。その結果によって、空ポンプの修理か買い替えのどちらを選ぶべきか、判断ができるでしょう。

真空ポンプのよくあるトラブルの特定と対策

真空ポンプが前触れもなく故障することは稀です。しかし、問題の前兆を発見するのは難しいものです。定期的なメンテナンスが最初のステップです。一般的には、早期に発見した問題は修理も簡単です。

また、よくあるトラブルや、真空ポンプの故障の兆候について理解することも、役立ちます。

  • 性能の低下:真空ポンプが必要な真空レベルを維持できない場合、あるいはCNCマシンで材料が適切に保持されていない場合は、真空ポンプに問題がある可能性があります。
  • 異音:ガタツキ音、きしみ音、または衝撃音は、真空ポンプ内の機械的問題を示す場合があります。
  • エネルギー消費量の上昇:故障した真空ポンプは、動作するためにより多くのエネルギーを必要とする可能性があり、その結果、電気代が上昇することがあります。
  • リーク:オイルまたは空気のリークは、真空ポンプのシールまたはバルブに問題があることを示す場合があります。
  • 過熱:真空ポンプに触れて異常な高温となっている場合、通常より負荷がかかった状態で動作している可能性があり、故障の兆候かもしれません。
  • 頻繁なサイクル:ポンプがVSD(可変速ドライブ)を搭載していて、通常よりも頻繁にオンとオフを繰り返す場合、それは圧力や流量の問題を示している可能性があり、ポンプの故障につながることがあります。
  • エラーメッセージまたはアラーム:最新のCNC機械や真空ポンプ自体には、多くの場合、真空ポンプの問題を検出しエラーメッセージやアラームを発する監視システムが備わっています。
これらの兆候に気付いた場合は、コストのかかるダウンタイムやCNCルーターの損傷を回避するために、迅速に対処することが重要です。このような問題の診断と対策は、真空ポンプの専門知識を持ち、訓練を受けたサービスエンジニアへの相談をお勧めします。OTTOデジタルサービスなど、インテリジェントなモニタリングシステムへの投資を検討してみてもよいでしょう。センサーが各真空ポンプの性能データを継続的にモニタリングし、異常があれば通知を行います。

真空ポンプの性能を評価するための指標の例:

  • オイル温度
  • 排気圧
  • 消費電力
  • 振動値
  • 排気背圧
  • オイルレベル
  • 排気温度
ケーススタディ:家具製造用の経済的で信頼性に優れた真空クランプ

デンマークの家具メーカー、Kvist Industriesは、CNCルーターのクランプとネスティングに真空を利用しています。真空クランプで木材のワークを確実に固定し、位置がずれるのを防ぐため、正確に切断できます。精工で高品質な木製家具を製造するには、強力で信頼性の高い真空供給が不可欠です。

しかし、CNCルーターの1つに搭載していたドライロータリーベーン真空ポンプに異変が見られるようになりました。騒音が大きくなり、保持力が弱まり、製造の遅延にもつながっていました。Busch Vacuum Solutionsのエンジニアは、徹底的な調査を行い、真空ポンプに関するいくつかの問題点を見つけました。他の種類の真空テクノロジーと比較した際のエネルギー効率の低さと、修理とメンテナンスにかかるコストです。調査結果を踏まえ、Buschのドライクロー真空ポンプへの交換を提案しました。

ドライクロー真空ポンプ(図1)の利点は、明らかです。ドライクロー真空ポンプは非接触式の動作原理のため、同クラスの真空ポンプと比較しエネルギー効率が傑出しています。ドライロータリーベーン真空ポンプの場合、時間の経過とともにベーンの摩耗によって排気速度と真空レベルが低下します。一方、ドライクロー真空ポンプは耐用年数を通じて一貫した性能が維持されます。さらに、コンパクト設計のため、小型のクロー真空ポンプは大型のドライロータリーベーン真空ポンプよりも性能が高く、同等の排気速度でのモーター要件が緩和されます。ベーンがないため、頻繁な交換やメンテナンスの必要がなく、運用コストがさらに合理化されます。
両方の真空ポンプの総所有コストを評価した後、Kvist IndustriesはBuschの新しいドライクロー真空ポンプに投資することが、長期的な効率性という点で最良かつ最も費用対効果の高い選択であると判断しました。
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結論

真空ポンプが正常に動作していない場合、対策の選択肢は慎重に検討しましょう。まずは真空ポンプの修理サービスプロバイダーに相談し、適切な検査と診断を実施します。修理した場合の効果、性能、費用(その時点だけでなく将来的な費用も含め)と、新しい真空ポンプを購入した場合の費用も比較します。そうすることで、最適な判断を下すことができます。最終的には、お客様の生産プロセスにとって最も費用対効果が高く、有益なものは何かを考えた決定がなされるべきです。

これらをご自身で評価するのは難しい場合もあるでしょう。そんな時は、Buschが喜んでお手伝いします。当社のスペシャリストがお客様を訪問し、機器を評価し、将来に向けたアドバイスをいたします。最終的にお客様がどのような決断をされても、当社は修理と買い替えのどちらもご提供することができます。

さらに安心してご利用いただくために、サービス契約やインテリジェントなIoTソリューションで管理をBuschにお任せいただくことも可能です。真空の世界で60年の経験を持つ当社が、お客様の真空供給を守ります。

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