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図1:フリーズドライのいちご。出典:FrostX社。

真空による食品の保存

真空テクノロジーを使ったフリーズドライ

食品の消費期限を延ばすにはいくつかの方法があります。燻製や塩漬けなど古くからの方法の1つが乾燥であり、これは、冷凍や煮沸、真空包装が登場する以前から利用されてきました。フリーズドライは、伝統的な乾燥方法を現代的に発展させたものであり、より長期間にわたって食品の腐敗を防ぐことができます。このプロセスでは食品のフリーズドライが真空下で行われるため、現代の真空テクノロジーによってのみ実行可能な方法です。FrostX社は、ベーカリーやレストランに最適な小型サイズのフリーズドライヤーを製造しています。このフリーズドライヤーでは、果物、野菜、ハーブ、きのこ、肉、惣菜など、さまざまなものをフリーズドライ加工することができます。

フリーズドライのプロセス


フリーズドライは、昇華の原理を利用する純粋な物理プロセスです。乾燥チャンバー内は真空であるため、凍った水が水蒸気に昇華します。つまり、氷は「液体」の状態を飛び越して「固体」から直接「気体」となります。

実際の乾燥プロセスの前に、製品を十分に凍結させる必要があります。その後、凍った製品を乾燥させることになります。冷却後、気密性の高いチャンバー内で真空ポンプを用いて1~0.5 hPa(mbar)の真空になるまでチャンバー内の気圧を下げ、実際の乾燥プロセスを実行します。凍った水の蒸発プロセスは-40℃から始まります。水蒸気は真空ポンプを利用して乾燥チャンバーから下流のコンデンサーへと吸い出されます。約-50℃に冷却されたこの「アイストラップ」では、水蒸気が昇華して冷却コイル上に氷として凝縮されます。このプロセスにおいて、製品からほとんどの水分が除去されます。

昇華の際、熱エネルギーが乾燥チャンバーから奪われます。つまり、このプロセス中はチャンバー内の温度が低下するということになるため、 チャンバーの加熱が必要となります。温度を一定に保つ、あるいは温度上昇をわずかに抑えるためには、昇華エネルギーとして水から奪われる量と同じだけの熱エネルギーを加えるように注意する必要があります。

その後、乾燥チャンバーに空気を入れて大気圧に戻し、水分量が1~4%まで乾燥された製品を取り出してさらなる処理を行います。空気を入れる際は乾燥空気または不活性ガスを使用し、乾燥製品が周囲空気から水分を吸収しないようにします。

Buschの真空テクノロジーを利用したFrostX社のフリーズドライヤー


FrostX社のフリーズドライヤーは標準的な冷蔵庫よりも小さく、果物、野菜、ハーブ、きのこ、肉、惣菜など、さまざまなものをフリーズドライ加工することができます。しかも、食品の栄養や風味がまったく損なわれません。また、フリーズドライの食品は非常に長持ちするため、食品の廃棄を防ぐことができるほか、食品が保存しやすくなります。コンパクトなサイズのため、小さなキッチンやベーカリーにもフィットし、低騒音と運用コストを抑えることでさらなるメリットをもたらします。FrostX社のフリーズドライヤーにはBusch Vacuum SolutionsのZEBRAロータリーベーン真空ポンプが搭載されています。この真空ポンプは堅牢で運用上の信頼性が高く、低圧範囲でも安定した排気速度を実現します。真空ポンプ自体が極めて低騒音であり、必要に応じて簡単に修理することもできます。

ミシュランの星付きレストランもフリーズドライヤーを利用


FrostX社は先頃、オーストリアのウィーンにあるミシュランの三ツ星レストランにフリーズドライヤーを納入しました。これは、フリーズドライというプロセスがレストランでも活用され、まったく新しい調理法と味を実現しているということを示す一例です。しかも、栄養素や風味は一切損なわれません。