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MINK MV 0060 D。出典:Busch Vacuum Solutions.

最先端の真空テクノロジーによる地域暖房ネットワークの水質最適化

Elektrizitätswerke Mittelbaden AG & Co. KG

地域暖房ネットワークの回路内の水質は、ネットワークのパイプラインの耐用年数を決める決定的な要因となります。黒管の腐食を防ぐためには、脱塩水または浸透液を熱伝導媒体として使用する必要があります。
Elektrizitätswerke Mittelbaden社は、Buschの最先端の真空テクノロジーを活用した、水回路から酸素と二酸化炭素を除去するための完璧なソリューションを見出しました。
電力会社であるElektrizitätswerke Mittelbaden AG & Co. KGは、Busch Vacuum Solutionsとの協力で、最先端の真空テクノロジーを使用した、水回路から酸素と二酸化炭素を除去するための完璧なソリューションを見出しました。RO(逆浸透膜)ろ過装置は、今でも水の脱塩に利用されています。新たに開発されたデガッシングシステムを用いることで、非常に効率的かつ安全なテクノロジーが利用できるようになり、ネットワークの黒管の耐用年数が大幅に伸びる結果となりました。

Elektrizitätswerke Mittelbaden社について

電力会社であるElektrizitätswerke Mittelbaden AG & Co. KGは、ラール、オッフェンブルク、ハウザッハ、ケールにある4つの施設で、約30万人の住民に電力供給しています。現在、オッフェンブルクの施設では、900世帯に暖房を提供する地域暖房ネットワークも運営しています。地域暖房ネットワークに供給される水は、コジェネレーションユニットの廃熱を利用して80°Cに加熱され、伝熱媒体として機能します。この地域暖房システムは、現在、さらなる拡張が行われています。2021年、第3のネットワークが運用を開始し、第4のネットワークも現在計画段階にあります。

地域暖房における真空テクノロジーの利用

既存の暖房ネットワークの長さは両方合わせて約5 kmで、そこには断熱処理された黒管が使われています。パイプの耐用年数をできる限り長くするために、最初のステップとして、軟水化装置で水のpH値を0まで減らします。その後、RO(逆浸透膜)ろ過装置で水の導電性を下げ、1立方センチメートルあたり8~9マイクロジーメンス(μs/cm3)という最適値にします。以前は、酸素と少量の二酸化炭素を主成分とする蒸気をデガッシングシステムを使用して除去しており、 そのシステムには水封式真空ポンプが搭載されていました。同社の技術者であるTobias Friedemann氏にとって、この種の真空供給は満足できるソリューションではありませんでした。その理由の1つが、この真空ポンプには封液として水が必要であるという点です。年間で必要となる真水のコストは、3,000ユーロにもなっていました。それまでデガッシングシステムを提供していたサプライヤーがサービスの提供を停止したため、Tobias Friedemann氏は代替品を検討し始めました。オッフェンブルクで営業する電力会社としては、環境上の観点から、水処理に化学薬品を使うという選択肢はありませんでした。しかも、化学薬品の使用は、分量と組成によって好ましくない反応を引き起こし、水質に悪影響を与える可能性があるため、扱いには複雑さが伴います。

Buschの技術を利用したデガッシングシステムのメリット

徹底的な調査を経て、Tobias Friedemann氏が最終的にたどり着いたのがBusch Vacuum Solutionsでした。Buschのプロセスエンジニアは、最新世代の周波数制御によるMINKクロー真空ポンプを中心に据え、全く新しい方式のデガッシングシステムを開発しました。

24時間の稼働中、1時間あたり1000リットルの水が常に回路からデガッシングシステムに供給されます。この水は、真空状態のデガッシングタンク内に噴霧されます。噴霧するのは、真空下での気液の接触面積が大きくなり、効率的に気体を取り除けるためです。このようにしてデガッシングされた水は、制御システムを介して直接または貯水タンクを使用して回路に戻すことができます。プロセスエンジニアにとっての課題として、コジェネレーションユニットに隣接する部屋のスペースが限られているという問題がありました。ソリューションとなるのが、コンパクトにフレーム上で構成したデガッシングシステムです(図1)。制御システムをはじめとする必要なすべてのコンポーネントが含まれています。暖房供給への接続は、このデガッシングシステムで稼働中の両方の地域暖房ネットワークの水を交互に処理するという方法で実現されました。
Buschのデガッシングシステムは、2020年初めに稼働を開始し、その後、長さ1.8 kmと2.8 kmという2つの地域暖房ネットワーク向けに24時間体制で水のデガッシングを行っています。その水量は合わせて300 m3です。Tobias Friedemann氏にとって、この新しいデガッシングシステムのメリットは明らかです。MINKクロー真空ポンプを使用することで、封液としての真水が不要となります。それにより、給排水設備の設置コストを削減できたほか、何よりも水自体のコストの節約が実現しました。MINKクロー真空ポンプは、完全なドライ方式なため、 ガスの圧縮または抽出に水やその他の作動液も必要ありません。そしてもちろん、信頼性の高い真空生成でデガッシングタンク内は確実に所定の真空レベルに達します。これは水の量や温度に左右されません。可変速ドライブにより、真空ポンプを水の状態に合わせて制御し、デマンドに合わせた真空を供給することが可能です。一方で、水封式真空ポンプは精密に制御することができず、真空性能は水温によって左右されます。それまで使用されていた2基の水封式真空ポンプに替わって、ほぼメンテナンスフリーのMINKクロー真空ポンプが採用されました。可変速ドライブに加えて、発電所にとってもメリットとなるエネルギーコストの削減も実現しています。新しいデガッシングシステムのモニタリングにはModbus RTUが使われています。これにより、外部からの操作と制御が可能となっています。水の循環、温度、伝導率がすべて常時監視されており、 3つのパラメーターのうち1つでも目標値から逸脱した場合は、速やかに適切な修正措置を実行できます。

Tobias Friedemann氏は、地域暖房ネットワークの未来に向け、これが最も有望なデガッシングソリューションであると確信しています。同氏は、翌年に操業開始を控える新しい地域暖房ネットワークに、Busch製の2つ目のデガッシングシステムをすでに導入しました。その先の未来のネットワークにも、Busch Vacuum Solutionsのデガッシングシステムが搭載されるでしょう。