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甘美な樹液

真空でメープルシロップの収穫量をアップ

世界中でカナダのメープルシロップの人気が高まっています。樹液の採取に真空ポンプが利用されています。

伝承によれば、サトウカエデの樹液の甘さを発見したのは、ネイティブアメリカンのイロコイ族でした。幹の洞に溜まった水を飲み、その樹液が甘いことに気づいたと言われています。確かなことは、北アメリカの住民がコロンブス以前にカエデの木を採取し、小さな容器に樹液を集め、その後シロップに煮詰めたということです。

その後、メープルシロップはヨーロッパからの移住者の目に止まり、その採取方法が受け継がれました。基本的な採取方法はそれから長らく変わることはありませんでした。新しい技術を活用して効率化が進んだのは、20世紀の後半に入ってからでした。樹に打ち込んだ採取口から滴り落ちる樹液をバケツに溜めるのではなく、採取口にチューブをつなぎます。バケツに落ちる樹液を集める代わりに、大きな回収容器に流れるようにしました。その流れを促すために真空ポンプが使われるようになったのもこの頃です。

しかし、この新しい方法には落とし穴がありました。カエデの樹液は、樹が冬眠を終えて芽吹きに備える春の時期しか収穫できません。この時期はまだ夜間の気温が低く、金属製の採取口や取付け器具が凍結して樹液の流れを妨げます。またそれら器具類の気密性も、高い真空レベルの維持には不十分でした。このような状況を受けて、カナダのDonald Lapierreは、1970年代にプラスチック製パーツを使用した採取装置を開発しました。そして、メープルシロップの生産と販売を手がけるLes Équipements Lapierre(以下、Lapierre Equipment)を設立しました。

彼の手法で、はるかに効率的に樹液を回収することができるようになりました。プラスチック製の採取口は、それまでのものと比較してはるかに小型で、樹も傷めません。バーモント大学のメープルリサーチセンターは、真空テクノロジーの利用が樹木に及ぼす影響やシロップの品質について調査し、樹木の健康にも、シロップの品質にも悪影響がないという結果を得ました。

現在では、何千本もの樹をつなぐシステムで大量生産が行われています。しかし、最近までほとんどのカエデ農家では、農場で牛を搾乳するために一般的に使用される技術である水封式およびオイル潤滑式ロータリーベーン真空ポンプが使用されていました。このようなポンプは定期的なメンテナンスが必要ですが、ミズーリ州からケベック州にかけての森林に点在する真空ポンプのメンテナンスは非常に骨の折れる作業です。

Les Équipements LapierreはBuschと共に、最適なソリューションを見つけました。今日でも創業者が経営する同社は、ブッシュの MINKクロー真空ポンプを搭載した採取システムを提供しています。ドライ真空ポンプは作動液を使用しないため、ほとんどメンテナンスを必要としません。作動液不要のクリーンな真空生成は、食品への利用に最適です。このソリューションをメープルシロップの生産に取り入れたことで、2018年11月、BuschはLes Équipements Lapierre に真空イノベーション賞を贈りました。
メープルシロップは健康的?

メープルシロップの主成分はショ糖と果糖です。主に甘味料として利用されています。そのため、他の甘いものと同様に、摂り過ぎには注意が必要です。しかし糖分の含有量は66~68%です。砂糖や蜂蜜よりグリセミック・インデックス(GI)への影響が大幅に低い一方、風味豊かな甘みが特徴です。

また、煮詰めるという製造工程はあるものの、メープルシロップは基本的には天然の食品であり、糖質と水分以外にも貴重な成分が含まれます。ビタミン、ミネラル、さらには抗菌作用を持つと言われているフェノールなどです。ネイティブアメリカンも、シロップを炎症や感染症に対する薬として使用していました。研究室のテストでは、メープルシロップの抽出物には高い抗菌効果があると証明されています。ある種の細菌に対する滅菌効果は90%以上でした。この研究はまだ始まったばかりですが、カエデのフェノールが耐性菌への新たな対策となることが期待されています。