動く磁石

目に見えない力で、物を引き寄せ、反発させ、動かす。磁石は私たちが日常的に使っている機械に不可欠な部品です。Buschの真空ポンプは、磁石に必要な品質と耐久性を確保するのに役立っています。

すべてのモーターの内部には永久磁石があります。それがモーターの回転と、モーター駆動の機械のスムーズな運転を支えています。目立たなくとも非常に重要なこの機械部品は、元々は普通の金属です。金属を磁石に変えるには、電磁気の他に混合、粉砕、加熱、加圧の一連の工程が必要です。その工程でBuschの真空ポンプが役立っています。永久磁石の製造に適した特性を持つ金属はごくわずかです。それは、鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性元素です。これらのベースとなる金属を、炭酸ストロンチウムなどの他の材料と混合することで、その磁力と物理的な強度を増すことができます。

電荷整列

強磁性金属は、ドメイン(あるいは磁区)と呼ばれる異なる領域で構成されています。各ドメインは特定の方向に磁化しています。金属片が何百個または何千個もの、小さな磁石でできているようなイメージです。しかし、金属が処理される前はドメインの方向が揃っていないため、互いに磁力を打消し合うことになります。金属片全体を磁化するためには、このドメインを整列させる必要があります。そのために、粒子に含まれるドメインが1つになるまで金属を細かく砕きます。まず、乾燥工程で金属を砕きます。その後、細かな粉末に水を加えながらさらに粉砕し、スラリーを作ります。

塊から磁石へ

新しい磁石をモーターに必要な形状に形成するのは、湿式工程です。スラリーを圧縮して形を作ります。モーター用の場合は、ローターの両端にフィットする小さくて湾曲した長方形となります。成形が終わったら、余分な水を取り除く必要があります。まず塊を型枠の中でプレスし、出てきた水を除去します。次に、真空ポンプを使用します。水分を徐々に抽出し、排出します。真空下で加工することで、ごく少量の水分や気泡を残らず除去できます。こうすることで、最終製品に不要な気孔や脆弱性が生じるのを防ぎます。水分を十分に除去したら、金属が磁石になる最終段階に入ります。成形されたものを1200°Cのオーブンで焼結し、その後冷却します。最後に、強い磁場を印加します。そうすることで、それまでバラバラだったドメインがすべて整列し、一貫した磁場が生成されます。このようにできた磁石が、モーターの回転に利用されます。