R5オイル潤滑ロータリーベーン真空ポンプは、食品包装用に特化して開発されたものであり、最高の品質基準を達成しています。
生鮮食品の真空包装
チャンバー包装機の真空ポンプを正しく取り扱うためのヒント
チャンバー包装機を用いて生鮮食品を真空保存することは、食肉店や食肉、ソーセージ、チーズ製品の生鮮食品カウンター、および食品サービス業界において頻繁に行われる日常業務です。
すべての生鮮食品は、多かれ少なかれ水分を含んでおり、その一部は真空包装中に蒸発します。これが製品の品質に影響を与える可能性があります。さらに、包装機が常時稼働していない場合、包装品質が低下したり包装プロセスに時間がかかりすぎる可能性もあります。包装プロセスに長く時間がかかると、包装する食品の重量が目減りします。包装プロセス中の物理的な動作の説明と、包装機内における真空ポンプのトラブルのない運転および長い耐用年数を確保するための実用的なアドバイスをご紹介します。
チャンバー包装ではBusch Vacuum SolutionsのR5オイル潤滑ロータリーベーン真空ポンプが業界標準となっており(図2)数多くの有名メーカーに採用されています 。これらの真空ポンプは、食品の包装用に特化して開発されたものであり、何十年にもわたる実績があります。継続的改良により、これらの真空ポンプは最高の品質基準を達成しています(図1)。
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図2:内側にロータリーベーン真空ポンプが見えるチャンバー包装機の機能モデル。出典:Busch Vacuum Solutions.
食肉、ソーセージ、魚、チーズなどの生鮮食品は、通常、約5 hPa(mbar)の圧力で真空包装されます。この圧力では、残留空気中の酸素含有量が非常に少なくなり、さまざまな微生物の活動が防止されます。そのため、包装済み製品の消費期限が大幅に延長されます。しかし、このような低圧では、水分が低温で蒸発することにもなります。通常の大気圧では、水は摂氏100度以上の温度で蒸発または沸騰し始めますが、30 hPa(mbar)の圧力では室温でも蒸発が始まります。8 hPa(mbar)の圧力では、冷却室の温度である摂氏4度で水が蒸発します(図3)。
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図3:温度と圧力による水の状態変化。出典:Busch Vacuum Solutions.
運用上の推奨事項
チャンバー包装機を安定してトラブルなく運用するためには、以下の点に注意してください。1. 梱包前に真空ポンプを暖機運転する
これは、包装機を5~10回、製品や包装材を用いずに運転するだけでOKです。このとき、チャンバーが乾燥していることを確認してください
2. メンテナンス要項に従い定期的に整備する
現在、ほとんどのチャンバー包装機にはメンテナンス要項が付属しています。要項に従いメンテナンスを行うことで、凝縮しオイルと混じった水蒸気を真空ポンプから確実に除去することができます。メンテナンスは少なくとも週に1度実施するようにしてください。包装機によって、所要時間は10分~20分程度となります。真空ポンプの温度を動作温度にまで上げることで、真空ポンプ内の水が再び蒸発し、排出されます。
3. オイルレベルとオイルの質を毎週点検する
週に1度目視点検を行い、オイル量および質が適正であることを確認してください。これは、オイルサイトグラスから素早く簡単に実行できます。真空ポンプ内のオイルは、無色から黄色がかった透明である必要があります。レベルがオイルサイトグラスのMINマークを下回った場合、オイルを補充する必要があります。オイルが濁っている場合は、水がオイルと混じってエマルジョンが形成されている兆候です。この場合は、要項に沿いメンテナンスを実施する必要があります。メンテナンスを実施してもオイルの見た目の状態に変化がない場合は、オイル交換を行う必要があります。オイルの色が濃くなっているのは、プロセス由来の物質、例えばスパイスなどがオイルに混ざっているか、オイルが古くなりすぎている兆候です。この場合もオイル交換の実行が必要です。
4. 適切な真空ポンプオイルを使用する
真空ポンプオイルの品質と適正な量は、包装プロセスとポンプの保護において重要な役割を果たします。そのため、真空ポンプと包装機が正常に機能するためには、適切なオイルを選択することが不可欠です。Busch Vacuum Solutionsは、包装機の真空ポンプ向けに特殊なオイルを開発しました。VSA真空ポンプオイルは、水蒸気の含有量の高い空気の吸引用に作られているため、水分を多く含む製品の包装に適しています。水分の少ない食品には、VSL真空ポンプオイルも使用できます。どちらのオイルもH1認証を受けた食品グレードの合成オイルです。また、これらの耐用年数は最大で鉱油の4倍となっています。Buschでは、酸素を使用したMAP(ガス置換)包装に適したオイルも提供しています。
5. 真空ポンプを定期的に整備する
チャンバー包装機の真空ポンプは定期的に整備する必要があります。サービス間隔は、動作条件、包装サイクル数、包装する物品の種類によって異なります。オイル交換が必要なタイミングの指標は、ポイント3で説明した目視したときのオイルの状態です。 オイル交換時には、オイルセパレーターのエキゾーストフィルターも交換する必要があります。排気速度25 m3/時以上の真空ポンプの場合は、オイルフィルターも交換する必要があります。リークを防ぐため、整備用開口部のシーリングリングも交換する必要があります。便利にご利用いただけるよう、BuschではすべてのR5真空ポンプに必要な部品を含んだサービスキットを提供しています。Busch Vacuum Solutionsは、メンテナンスサービスをグローバルに展開しており、お客様サイトでサービスを実施することも可能です。さまざまなタイプのサービス契約をご用意しています。
これらの取り扱いに関する注意点を守っていただくことで、トラブルのない運転と、真空ポンプの長い耐用年数、および最適な包装品質が確保されます。