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建物用の魔法瓶

真空断熱による壁と天井

「無」よりも効率的な断熱材は存在しません。魔法瓶の効果はこの原則に基づいています。魔法瓶の中空の壁の内部は真空です。この原理が今では建物の断熱にも応用されています。真空パネルは、最小限の厚みで最高の断熱性を提供します。

熱の伝わり方には、基本的に、対流、伝導、輻射の3つのタイプがあります。輻射は一般的な熱画像で観察することができます。対流については、カクテルに入った氷の例がよく引き合いに出されます。建物の場合は、2番目の伝導が最も重要な役割を果たします。冬に締め切った家から逃げる熱のほとんどが、伝導によるものです。温かい地域のエアコンの効いた建物内に入る熱は、同じ経路で逆向きに伝わっているものです。

伝導を防ぐ

熱伝導は主に原子の動きに関係します。固体の中にエネルギー(熱)が多ければ多いほど、原子の振動は強くなります。ここで言う固体を、例えばレンガとしてみましょう。外気が冷たく、室内の暖房が暖かい場合、レンガには温度勾配が生じます。温かい側の強い振動が、冷たい側の弱い振動を活性化するのに消耗され、熱が「失われて」いきます。

原子が存在しなければ、振動するものは何もありません。つまり熱伝導を防ぐという点で、真空に勝るものはありません。残念ながら、魔法瓶の仕組みを、大規模なものに対してそのまま応用することはできません。脱気され中が真空になったパネルは、空気圧で押しつぶされてしまいます。したがって、できるだけ真空の空間を残しつつ内側を支えられる構造が必要となります。

支持体プラス空間

断熱材(VIP)は通常、シリカ系の多孔構造の支持体を持ちます。この材料は耐火性があり、無害でリサイクルも可能です。支持材はアルミ樹脂フィルムで覆われ、熱放射を抑え、パネル内の真空を維持します。支持体、フレーム、外装板を取り付けた後、パネルを真空ポンプに接続し、空気を抜きます。

VIPの断熱効果は、従来の断熱材の4~5倍です。言い換えると、従来の断熱材の4分の1、あるいは5分の1の厚みで、同等の断熱効果を得られるということになります。このため、VIPは主にスペースが限られている場合や、建築上の要求が特に高い場合に使用されます。例えば、古い建物の改修、天井や天井裏の断熱、非常に価値の高い建築物などです。いずれにしても、製造工程に手がかかることから、鉱物繊維やプラスチックの発泡体と比較すると価格は高くなります。輸送や加工においても、VIPは単純な量産品よりも要件が厳しくなります。このように、総費用は大きくなりますが、非常に薄い断熱材で最高の断熱性能を得ることができます。
真空パネルの「ゲッター」とは?

絶対真空というものは、物理的および技術的な理由から、実現不可能です。ある程度の量の気体分子が必ず残り、その量の大小は使用する真空技術によって異なります。真空パネルの外部シールでさえ、無制限の期間、完全な気密性を保証することはできません。最小限の気体分子の拡散を防ぐことはできないのです。このような基本的な制約がありながら、長期間にわたって望ましいレベルの真空を維持するために、パネルにはゲッターが組み込まれています。これは、表面積の大きな反応性多孔質材料でできており、ほとんどの気体分子と化学的に結合します。たとえばバリウム、リチウム、ジルコニウム、バナジウム、コバルトなどの材料でできています。このような材料は空気中のほとんどの気体分子、主に窒素、酸素、二酸化炭素と結合します。不活性の貴ガス原子に対する作用はありませんが、これらの貴ガス原子が空気中に存在する割合はごくわずかです。乾燥剤(通常はカルシウム、バリウム、コバルトの酸化物)も、空気中の水蒸気を結合させるために使用されます。