ブラウザを更新してください。

お使いのMicrosoft Edgeブラウザは最新版ではありません。Buschのウェブサイトを十分にご活用いただくには、ブラウザの更新が必要です。

出典:A&T Manufacturing

アルミニウムシートのクランプに利用する真空生成における省エネ

軽金属製の高精度な航空機部品の製造は、A&T Groupの事業分野の1つです。同社は、厚さ0.3~8 mmで長さ7 mまでのアルミニウムシートを加工しています。

2台の5軸加工機で金属シートを加工する際には、予め曲げておいたシートを加工台に固定するために真空の吸着パッドを利用します。3基のR5ロータリーベーン真空ポンプを搭載したBusch Vacuum Solutionsの真空システムが、両方の加工機に真空を供給しています。

真空システムの設計と圧力に基づいた制御により、非常に高いエネルギー効率が実現しているほか、ワークを確実にホールドします。

A&T Groupについて

A&T Groupは2007年に創設され、自社のネットワークを活用してさまざまな製品やサービスを提供しています。軽金属製の航空機部品に加えて、A&Tは航空機内装の装飾用パーツも製造しています。また、風力タービンのローターブレードに使われるガラス繊維やカーボン製のカスタムフィットブランクも製造しています。さらに、ドイツ国内のいくつかの拠点では、ロジスティクス分野にも進出しています。

ノルデンハムの本社にあるA&T Manufacturingは、航空機製造用のアルミニウム加工を専門として、民間航空業界向けの複雑な構造部品を最高の精度と品質基準で製造しています。

アルミニウムシートのクランプ

アルミニウム、アルミ合金またはチタンのシートが使用されています。3軸加工機を使用し、平らな金属シートを加工台の上で表面加工します。それぞれの機械が、幅2.8 m、長さ10 mまでのシートを加工することができます。そのシートのホールディングに真空が利用されています。加工台のテーブルトップに空いた無数の穴からシートを吸引することで、しっかりホールドします。真空は、Buschの2基のMINKクロー真空ポンプによって生成されています。これらのドライ(作動流体不要の)真空ポンプは、圧力および速度の制御機能付きです。

圧延あるいは延伸加工された金属シートを航空機の胴体の形状に合わせて加工するには、複雑な技術が必要です。加工台の上に平らにしておくことができないため、高さを調整できる吸着パッドが使用されます。吸着パッドは指定した位置に設置され、高さも成形された金属シートに合わせ調整されています。

当社のソリューション

Buschの真空システム(図2)は、予め設定した真空レベルを正確に維持する役割を担っています。真空レベルは、ワークのホールドに十分で、かつ一方で金属シートのそりや曲がりの原因となるほど高くはならないようプログラミングします。
加工する金属シートは厚みが0.3mmの薄さであることも、長さが7mにも及ぶこともあります。真空レベルの設定は、最終製品の品質や精度を左右する重要なパラメーターです。


以前は2台の加工機のそれぞれに旧式のロータリーベーン真空ポンプが取り付けられており、稼働時間全体にわたって連続運転されていました。3交代制、週5日稼働において、7.5 kWのモーター2台の年間の消費電力は約85,000 kW時でした。

製造マネージャーのLeenert Folkens氏は、このような理由からよりエネルギー効率の高い真空供給を求めていました。他の加工機でBuschの真空ポンプを使用して効果を実感していた同氏は、Buschに相談することにしました。その結果、3基のR5ロータリーベーン真空ポンプを搭載した真空システムの導入が決まりました。
このシステムの上流には容量1,000リットルのバッファタンクがあります。双方の加工機の需要に応じ、真空が供給されます。制御ユニットで、バッファタンク内を常時一定の真空度に維持するよう設定しています。

システムの始動時には、1基の真空ポンプのみが起動します。60秒経った時点で設定の真空度に達していない場合、2基目の真空ポンプが起動します。さらに60秒経ってまだ真空レベルが足りない場合、3基目が起動します。

制御ユニットにより、真空ポンプの起動順が2日ごとに変更されます。こうすることで、3基の真空ポンプの稼働時間が同等になります。通常1基の真空ポンプで2台の加工機に必要な真空を十分カバーできており、この点をLeenert Folkens氏は高く評価しています。2基目、3基目の真空ポンプが必要になるのは、双方の加工機の起動のタイミングが偶然重なった場合などに限られます。

制御ユニットの活用で、真空システムは需要に合わせて出力を変更できます。3基の真空ポンプの排気速度は、それぞれ300 m3/hです。したがって、最大排気速度900 m3/hとなります。

平素は、一度に稼働するのは3基のR5ロータリーベーン真空ポンプのうち1基で、時間的には5分半ごとに約30秒間です。通常はこれで、バッファタンク内の目的の真空レベルを維持したり、両方の加工機の吸着パッドに十分な真空を確保するのに十分対応することができます。これに基づき計算すると、1基の真空ポンプの稼働時間は1時間あたり約5分となります。スタートアップや稼働時間が長引く可能性を加味した計算だと(1時間あたりの平均動作時間を5分ではなく10分と仮定)、年間消費電力は約7,100 kW時となります。以前の電力消費量85,000 kW時と比較すると、年間77,900 kw時の省エネ、つまり90%以上の省エネが実現したことになります。

A&T Groupにとってのメリット

Leenert Folkens氏は、集中真空システムを導入するという決断により省エネという目標を完璧に達成しました。真空供給は冗長設計しているため、真空ポンプ1基にトラブルが起こったとしても、加工機に影響が及ぶことはありません。また、真空ポンプのメンテナンスを、生産を止めず加工機を運転したままで実施できるようにもなりました。このように、大幅な省エネだけでなく、運転上の信頼性が非常に高いソリューションが実現しました。