真空テクノロジーは、二酸化炭素回収プロセスの効率性を大幅に向上させる、重要な役割を果たしています。炭素回収には2つの方法があります。
発電所や鉄鋼所など、CO2排出量の高い産業では、二酸化炭素排出量を削減するための回収技術を使っています。このようなプロセスの1つが膜分離です。これは、真空と加圧を使用して圧力差を作り、膜を通過するCO2の透過性を高める方法です。膜分離は、回収されたCO2の純度を最大化するために2段階で行います。
また、一度環境に放出された二酸化炭素を大気から回収する、直接空気回収(DAC)と呼ばれる方法もあります。二酸化炭素回収システムの装置内部では、ファンが空気を吸い込みます。取り込まれた空気が吸着フィルターを通過し、二酸化炭素が分離されます。吸着されたCO2分子を再び放出(または脱着)するには、圧力を下げる必要があります。ここで、吸着フィルター内の圧力を下げ、回収されたCO2分子をフィルター(吸着剤)から分離して気体状態に戻すために、真空ポンプが使用されます。このプロセスを圧力スイング吸着法と呼びます。
Busch Groupの真空ポンプは、産業用炭素回収と直接空気回収の両方に使用されます。信頼性とコンタミレスが求められる産業用途では、BuschのCOBRAスクリュー真空ポンプが理想的です。MINKクロー真空ポンプは、ドライかつ非接触の動作原理を特長とし、炭素回収における高信頼、高効率のソリューションです。Pfeiffer Vacuum+Fab SolutionsのメカニカルブースターポンプOkta 8000 Gは、高い圧力差がある用途に最適で、補助ポンプなしで運転することができます。
回収炭素の貯留と利用
回収した二酸化炭素の扱いはさまざまです。たとえば、水と混合して地下の岩盤に注入し、そこで鉱物化させることで、大気中から恒久的に除去することができます。
2つ目の選択肢は、二酸化炭素のリサイクル(CCU - 炭素回収・利用)です。たとえば、CO2は、温室植物の収率を高める目的で、温室で肥料として使用することができます。飲料業界では、炭酸飲料にCO2が必要です。消火器にはCO2が液体の状態で入っており、消火剤として使用されます。二酸化炭素が酸素を希釈し、窒息効果で消火する仕組みです。化学工業においては、有機化合物の製造にCO2が使われます。