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図1:都市下水処理施設のエアレーション用水路。出典:Busch Vacuum Solutions。

エアレーションタンクへの酸素供給を省エネ化

生物学的な下水処理

都市の下水処理施設では通常、一時沈殿槽を経てエアレーションタンクに送られた廃水を、好気性微生物を使って処理します。ルーツブロワーを利用し廃水に空気を送り、微生物に酸素を与えます。Busch Vacuum Solutionsは、この用途向けに、信頼性の高い酸素供給を実現するルーツブロワーの新シリーズを発表しました。
下水処理施設のエアレーションタンクの曝気には加圧が必用です。加圧生成テクノロジーの中でもルーツブロワーが第一の選択肢です。新しいTYRルーツブロワー(図1)で、Busch Vacuum Solutionsは、この用途における新たなスタンダードを打ち立てることを目指しました。真空および圧縮空気技術を専門として培ってきた50年以上の経験を開発プロセスに活かしています。
BuschのTYRルーツブロワーの流量は、1barの加圧で毎分2.5~73立方メートルの範囲です。自治体にとって、廃水処理施設の運営は大きな財政コストがかかります。そのため施設の管理者と技術担当者は、あらゆる設備を省エネ化し、エネルギー効率を極限まで向上させ、運転コストを抑える責任を負います。Buschは、定評のあるロータリーローブの形状をさらに進化させ、ブロワーステージを流量に合わせ最適化しました。その結果、効果的な空気圧縮に成功しました。効率クラスIE3のモーターを標準装備し、周波数制御の運転にも適しているため、さらなる省エネ化が可能です。
TYRルーツブロワーの設計では、コンパクトさ静音運転を特に重視しました。これにより、小さなスペースにも設置できるコンパクトなユニット(図2)が実現しました。さらに、革新的な防音設計で騒音の低減も実現しました。高精度のヘリカルギア、騒音を抑えるインレット/エキゾーストフィルター、そして効率的な消音ボックスを利用することで、従来型のブロワーと比較し騒音を低減することができました。
TYRルーツブロワーの運転は、さまざまな方法で制御できます。PLC制御システムを利用して下水処理施設の制御システムに接続することができます。エアレーションタンク内で継続的に測定されている酸素レベルが下限を下回った場合、自動的にブロワーが作動し、上限に到達するまで運転が続きます。エアレーションタンクが大型の場合、あるいは複数ある場合には、TYRルーツブロワーを数台設置することで対応できます。酸素の要件に応じ、複数のTYRルーツブロワーを同時に、あるいは交互に運転し、すべてのブロワーの稼働時間を均等にすることができます。周波数制御されたルーツブロワーにおいては、酸素供給を個々のブロワーの運転時間で制御する必要はありません。ブロワーの速度を制御することで、そしてそれにより生成される流量を制御することで、酸素供給を管理することができます。速度制御を行うことで、より厳密にエアレーションタンクへ酸素を供給できるようになります。実際のオペレーションでは、これは下限と上限が互いに近くなることを意味します。可変周波数ドライブを使わないシンプルな制御も可能です。たとえば、同じTYRルーツブロワーを2台使用してエアレーションタンクへの通気を行う場合は、この2台を合わせて最大負荷に対応できるよう設計します。ドイツ オーバープファルツ地方のシュランマースドルフ-フォルバッハ下水処理施設では、2台のTYRルーツブロワーを利用しています。いずれのブロワーも、2段階の速度で運転することができます。必要な酸素供給量に応じ、これらのブロワーは、フルスピード、あるいは半分の速度で運転することができます。このため、周波数制御がなくても4段階の流量で運転することができ、さらなる省エネが可能となっています。下水処理施設の管理者およびその技術の責任者には、TYRルーツブロワーの信頼性と使いやすさが評価されています。ラインフェルデン-ヘルテン下水処理施設の運用マネージャー、Jürgen Nass氏は次のようにメリットを挙げています:
サイトグラスが外側から見えるので、消音ボックスを閉じたままギアやベアリングのオイル量が確認できます。消音ボックスのドアを開くと、オイルの注ぎ口とオイルドレンバルブに簡単に手が届くので、オイル交換が簡単です。インレットフィルターは前面から取り外すことができ、また取り出す際に汚染物質がブロワー上に落ちるリスクがない設計になっています。1年間運用しても誤作動したことはなく、ブロワーの故障もありません。
ラインフェルデン-ヘルテン下水処理施設の運用マネージャー、Jürgen Nass氏