水素が核融合でヘリウムになるとき、膨大なエネルギーが放出されます。このプロセスでは、温室効果ガスも、放射性廃棄物も発生しません。中性子衝撃によって引き起こされる放射能はごくわずかなうえ、技術的に簡単に制御できます。
人類の悩みを解決?
このエネルギー源をうまく活用できれば、人類の最も差し迫った問題を一気に解決することができるため、EU、スイス、米国、中国、韓国、日本、ロシア、インドから、たくさんの人々がこのプロジェクトに参加しています。このような世界的規模の力の結集は、めったに見ることができません。このプロジェクトは一昔前、当時の米ソ首脳レーガンとゴルバチョフの会談から始まりました。ITER(ラテン語で「道」の意)の建設サイトには南フランスのサン ポール レ デュランスが選ばれ、現在その施設はカダラッシュ研究所と呼ばれています。太陽を燃やす核融合反応。地球上では、この反応は太陽の中心部である摂氏1,500万度よりもさらに高い温度で起こります。地球上のどんな物質もこのような高温に耐えられません。そこで核融合に必要な水素-ヘリウムのプラズマを非常に強い磁場で閉じ込め、 真空チャンバー中で反応を行います。このチャンバーは500トンのピース9つで構成され、 完成すれば世界最大規模のチャンバーとなります。
チャンバーのリークテスト
組み立ての前に各ピースのリークテストを行いますが、 これも真空下で実施されます。Buschは、ITERのテスト用に2台の強力な真空ポンプを提供しました。将来的には、真空チャンバー全体の排気のために多数の強力な真空発生器が必要になります。核融合炉の完成は2025年の予定で、試験運転の開始はその後になります。計画では連続的な核融合反応の開始は2035年です。高温プラズマを浮遊させる非常に強力な磁場は、超伝導コイルによって生成されます。このコイルは、絶対零度をわずかに上回る程度にまで冷却する必要があります。極低温を維持するために、コイルはクライオスタット(直径29メートルの断熱された真空チャンバー)に収容されています。