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コンソールおよび真空ブロック付きのCNCルーター:片側でワークを加工している間に、もう一方の側で完成したワークを取り外したり、新たにクランプすることができます。出典:Busch Vacuum Solutions

木材加工における真空 - パート3

これまでの2つの記事では、真空テクノロジーの概要と、さまざまな真空生成の方法を取り上げました。では、実際に使うとどうでしょうか?注意しておくべき点や、真空供給を最適化する方法は?「真空が弱すぎてワークを保持できない」という場合でも、その問題が必ずしも真空ポンプの性能に関わるものだとは限りません。そこで今回は、真空供給の設置、運転、メンテナンスに関するヒントやコツをいくつかご紹介します。

各種CNCルーターやマシニングセンターで使われる、真空を利用するクランプ方法は3種類あります:

  • グリッドテーブル
    • 1. シールしたテーブル表面にワークを直接置き、クランプして加工します。
    • 2. ガイドや治具をグリッドテーブルに吸着させるか、機械的に固定し、その上に実際のワークをクランプして加工します。


  • グリッドテーブルでのネスティング
    通常はMDF製の通気性のあるボードをグリッドテーブルの上に置き、真空で固定します。ワークはこのMDFボードの上に置かれ、MDFボードを通して吸引されます。保護用に2枚目のボードを使うこともできます。


  • 真空ブロック
    大型のマシニングテーブルとは異なり、このシステムは、ワークの形状に応じて取り付けられる個別のコンソールで構成されています。これらのコンソールには真空カップ(真空ブロック)が搭載されています。ワークをこれらの真空ブロックの上に置き、それを吸引して保持します。真空ブロックには、内部の配管を介して真空を供給しています。

一般的に、ネスティングでは、より大きな真空ポンプ、つまりより高い排気速度の真空ポンプを使う必要があります。これは、真空ポンプは常にMDFボードの表面全体から空気を吸引している一方で、MDFボードの全面がワークで覆われているとは限らない場合が多いためです。したがって、作業中を通じ、真空ポンプは実際のクランプに必要な量以上の空気を吸引する必要があります。真空ブロック付きコンソールまたはグリッドテーブル上で直接クランプする場合は、このような余白部分の吸引は必要ありません。

真空ポンプの設置

どのような真空クランプでも、クランプ装置と真空ポンプの間の配管が最短になるよう、真空ポンプを工作機械の横や内部など、可能な限り近くに設置する必要があります。なぜなら、真空ポンプが吸引するのはワークとそれが置かれている面(グリッドテーブル、MDFボードまたは真空ブロック)との間の空気だけではなく、配管内の空気も吸引する必要があるためです。配管が長いほど、そしてバルブ、チューブ接続、接合部、ベンドなどが増えるほど、リークのリスクは高まります。つまり、リーク部から流入する空気も真空ポンプが吸引する必要があるということです。
ヒント:クランプ装置と真空ポンプの間の配管をご自身で行う際、麻をシーリング材として使用することは絶対に避けるようお願いします。真空によって麻に含まれる水分が除去され、乾燥して密閉効果が失われます。継手と配管の間のシーリングには、テフロンテープを使用する必要があります。
配管の直径は、考慮が必要な非常に重要な要素です。配管の直径を真空ポンプのインレットフランジよりも小さくすることはできません。これは、真空ポンプの排気速度に影響するからです。一定時間に配管の最も細い部分を通過できる量しか吸引できません。既存の真空ポンプをより大型かつ強力なものに交換したとしても、配管が細ければ、クランプ力にプラスの影響が及ぶことは一切ありません。配管に狭いカーブやエルボー部分があると、空気の流量に悪影響が及ぶため、できる限り避けるようにしてください。

真空供給のシールの気密性

真空供給のシールが気密性が高いほど、真空ポンプはより効果的に動作します。これは配管やチューブだけでなく、クランプデバイス自体にも当てはまります。CNCのグリッドテーブルに直接クランプする際、ワークの下になるテーブル表面をシーリング材で慎重かつ完全に密封するように注意する必要があります。ワークが密封されたテーブル表面を覆うように置きます。また、グリッドテーブルの密閉された部分の内側にある真空の供給口が1つ以上開いていることも重要です。シール部分から外れるテーブルのすべての吸引口は密閉します。グリッドテーブル上に真空でガイドをクランプする必要がある場合は、上述のように密閉する必要があります。ただし、機械的クランプも可能です。ガイド上のワーク支持面も、同様にシーリングコードで適切かつ完全に密閉する必要があります。ネスティング法:上述のように、ネスティング法を使用する場合、MDFボードのワークでカバーされていない部分が大きければ、常にリークによる性能の低下が生じます。
ヒント:表面に気密性の高いボード、マット、フィルムを敷くと、このような状況で効果的に作用します。
ネスティング法を使用する場合、保護用に使うMDFボードの通気性もチェックする必要があります。通気性は、ボードメーカー、樹脂の使用、成分によって変化する場合があります。理想的な素材を見つけるために、あまざまなボードを試す必要がある場合もあります。MDFボードは、製造時に熱を利用してプレスされます。そのため、ボードの内側よりも表面の多孔性と通気性が低くなります。 ヒント:2枚目のMDFボードで、ワークの輪郭をフライス加工します。そうすると、ボードはワークが置かれる部分の通過性が高くなります。それにより、ボードの残りの表面よりも多くの空気がそこから吸引されることになり、クランプ力の効力が向上することになります。 真空ブロック付きコンソール:コンソールや真空ブロックで作業する際は、リークした空気を吸引することがないよう、すべての真空ブロックがワークの表面全体にしっかりと配置されていることを確認してください。使用していない真空ブロックは、真空供給から切り離すか、完全に取り外す必要があります。

真空ポンプの設置場所

前述のように、真空ポンプは工作機械にできるだけ近い場所に設置するか、配管が可能な限り短くなるように組み込む必要があります。ただし、点検やメンテナンス作業を実施できるよう、真空ポンプにアクセスしやすいよう考慮しておく必要があります。さらに、特に空冷式の真空ポンプを使用する場合、新鮮な空気が確保できるよう通気に注意を払う必要があります。ひどい汚れが付かないようにしてください。最新の真空ポンプは表面が滑らかで、表面温度が低い状態で清掃がしやすくなっています。粉塵や削り屑を圧縮空気で定期的に吹き飛ばすだけで十分です。真空ポンプの中には、表面温度が100°C近くまで上がるものもあります。粉塵や削り屑の自然発火につながる危険性があります。このような場合、真空ポンプの汚れを定期的にチェックし、清潔な状態に保つことが特に重要です。

真空ポンプのメンテナンス

一般的に真空ポンプには、粉塵やその他の粒子や液体が真空ポンプに入り込むのを防ぐため、上流にフィルター(インレットフィルター)を取り付ける必要があります。粉塵の量に応じて、このフィルターを定期的に清掃する必要があります。通常は、圧縮空気を使用してフィルターエレメントから粒子を吹き飛ばすだけで十分です。 ヒント:フィルターが水平に取り付けられていることを確認してください。そうすることで、フィルターを開けたり、フィルターエレメントを取り外す際に、真空ポンプに粉塵が入り込むのを防げます。
オイル潤滑ロータリーベーン真空ポンプ
オイルレベルを定期的に目視点検する必要があります。必要に応じてオイルを補充してください。オイルが黒く変色した場合は、オイル交換を行う必要があります。フィルターエレメントとオイルの交換は少なくとも1年に1回(真空ポンプを3交代シフトで使用し続ける場合は1年に2回)行う必要があります。

水封式真空ポンプ
水位を毎日チェックし、必要に応じて補充してください。水の汚れの程度に注意する必要があります。スラッジが形成された場合は、水を交換し、水回路を清掃する必要があります。同じ水をシャフト冷却にも使用する場合は、冷却液の配管も清掃する必要があります。

ドライ式ロータリーベーン真空ポンプ
ベーンは必ず摩耗するため、定期的に点検する必要があります。大型の真空ポンプ(≤100 m3/h)は、6か月ごとに点検する必要があります。点検では、真空ポンプを開いてベーンの長さと厚みをチェックします。この点検を実施しなければ、ベーンが破損し、真空ポンプが完全に故障してしまうリスクがあります。
ヒント:ドライ式ロータリーベーン真空ポンプを連続運転する場合、ベーンの破損による故障が発生した場合に備えて、すぐに使える交換用真空ポンプを用意しておく必要があります。
MINKクロー真空ポンプ
非接触式の圧縮原理により、真空ポンプ内部に摩耗が生じず、スペアパーツも不要です。ただし、この真空ポンプには、圧縮チャンバーと分離された同期ギアボックスがあります。毎月1回オイルサイトグラスを通してオイルレベルを目視点検する必要があります。少なくとも20,000稼働時間経過後にはオイル交換が必要です。3交代制シフトで運転を続ける場合は、毎年ギアオイルを交換することが推奨されます。

制御

真空ポンプ制御システムは通常、装置の制御装置に統合されています。この場合、クランプ中にバルブを介して真空がかけられます。加工が終了した後、クランプ装置をベントしてワークを取り外します。このプロセス中、真空ポンプは運転を継続しています。ダウンタイムやクランプ時間が長くなる場合には、バッファタンクを追加し、到達真空度に達したときに真空ポンプを自動的に停止し、事前設定された圧力に達したときに再び作動する方法も検討する必要があります。 省エネの観点から見ると、周波数制御真空ポンプの使用が最善の選択肢です。可変速度機能があることで、要件に応じて自動的に調整され、クランプに本当に必要なエネルギーだけを消費します。制御システムを最適化するには、真空の専門家の助言が必要となります。