真空による生産性の向上

バルカンチーズ、カシュカヴァル、グリルチーズ。乳製品メーカーであるCrailsheim-Dinkelsbühl社では、毎日427,000 リットルの生乳を加工し、美味しいチーズを作っています。Busch Vacuum Solutionsの真空システム導入で、サイクルタイムの短縮と製造の安定化が実現しました。

バーデン＝ヴュルテンベルク州クライルスハイムにある工場を、白い帯が延々と滑り続けています。隣り合う 3 つのくぼみに、熟練の技でホワイトチーズのブロックを投入してゆきます。空気を抜き密封し、カットする前に、カラフルな包装フィルムで包みます。その間にロボットが外箱を組み立て、包装したてのチーズを真空グリッパーアームが慎重に入れていきます。チーズはその後、大手ブランド名で、あるいは販売店のプライベートブランド商品として、ドイツ全土のスーパーマーケットやディスカウントショップに並びます。

1927年以来の品質
Crailsheim-Dinkelsbühl乳製品工場は 1927年に設立されました。4月から 8月のピークシーズンには、組合員232名が3交代で勤務します。ピーク以外の季節は 2交代制です。同社は毎年、地域の335の農場で生産される1億5,800万リットルの牛乳を、21,300トンのチーズに加工しています。脂肪分やクリームの濃度を変えたり、塩水漬け、オイル漬け、ハーブやチリ、オリーブを加えたもの、セミソフト、ナチュラル、スモークチーズなど、加工の種類は豊富です。ドイツ農業協会（DDLG）から9つの金賞と2つの銀賞を受賞しました。

Crailsheim-Dinkelsbühlの乳製品工場では、原材料の品質を特に重視しています。これは、継続的で持続可能なビジネス関係にも当てはまります。原乳は、環境基準に従って遺伝子組み換えを行わない農場から、協同組合のタンカーで毎日収集しています。最先端の社内研究所では、すべての製造工程を検査 監視しています。また、ハラールおよびコーシャ認証も取得しています。

5つの包装ライン、1つの真空システム
5本の包装ラインには、別の機械室から真空が供給されます。ここではBuschの真空システムを圧力制御で運転しています。システムは3台のR5 ロータリーベーン真空ポンプ、3台のPANDAメカニカルブースター、制御キャビネット、バッファタンクで構成され、各種チーズの水分含有率に合わせて調整された真空レベルを生成します。真空は包装材の成形、排気、シーリングだけでなく、大型の出荷用梱包箱の組み立てや、包装されたチーズの箱詰めにも使用されます。 チーズの包装における課題は、製品に含まれる水分量が多いという点です。そのため、Buschのエンジニアは、必要なフィルターのサイズを慎重に計算し、ホエイの水分を分離するためのセパレーターをシステムに組み込みました。ターンキーソリューションが設置されたのは2021年のある週末です。月曜日、新しいシステムで直ちに生産を再開しました。それ以来、システムはトラブルなく稼働しています。

莫大な省エネ効果
「以前は、真空生成にベンチュリノズルを使用しました。圧縮空気を大量に使いました。エネルギーの無駄使いでした。Buschの真空システム導入で、年間38,000 kWhの省エネを達成しました」と、Crailsheim-Dinkelsbühl乳製品工場のマネージングディレクターであるJosef Vögeleは話します。「省エネにより、私たちは、連邦経済 輸出管理局（BAFA）から真空システムの投資額の40％の補助金を受け取ることができました。補助金申請に必要な書類もBuschが用意してくれました」
古い真空供給はエネルギー効率が低いだけでなく、サイクル数を増やすには排気速度も不十分でした。Vögele 氏は次のようにコメントしています：「Buschの新しい真空システムにより、1分あたりのサイクル数を9から12まで上げることができるようになりました。真空供給のスピードが上がり生産性が大幅に向上しただけでなく、エネルギー消費量も削減されました。」

システムのメンテナンスを担当するテクニカルマネージャーのMarkus Otterbachも、新しい真空システムに非常に満足しています。「私たちは非常に水分がおおく、時にはスパイスも入った製品を包装しています。工程ではチーズの屑が出ることもあります。それでもなお、 Buschの真空システムは問題なく動いています。私たちは何も配する必要はありません。時々少量のオイルを加えます。それ以外にやることはありません。メンテナンスはほとんど不要です」