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出典:© www.istockphoto.com - paparazzit

化学および製薬プロセス向けドライ真空テクノロジー

真空は、化学および製薬プロセスにおいて重要な役割を担っています。真空搬送、不活性化、蒸留、乾燥などのプロセスでは、プロセスの安全性、スピード、経済性を高めたり、まずプロセス自体を実現させたりするために、あらゆるところで真空が利用されています。
真空生成に使用される技術は多種多様です。水封式真空ポンプとスチームエゼクターは、真空生成において長年にわたり堅牢な主力製品となっています。
ただし1つだけデメリットがあります。封液や作動流体とプロセスガスとの接触です。これは循環式の潤滑油を使うロータリーベーン真空ポンプにも当てはまります。

革新的:ドライスクリュー真空ポンプ

Busch Vacuum Solutionsが初めてのスクリュー真空ポンプ、COBRAを発売したのは、1990年代半ばです。当時知られていた真空ポンプとの大きな違いは、スクリュー真空ポンプでは、プロセスガスを圧縮するための潤滑剤や作動流体が不要であるという点でした。これが、「ドライ」スクリュー真空ポンプと呼ばれる理由です(図1)。現在、ドライスクリュー真空テクノロジー も化学および製薬業界でも幅広く使用されています。

動作原理

スクリュー真空ポンプ内部で、2本のスクリュー型のローターが反対方向に回転します(図2)。プロセスガスは、シリンダーとスクリューの溝の間で捕捉され、圧縮されて排気口に移動します。圧縮プロセス中は、スクリューローターが互いに接触したり、シリンダーと接触したりすることはありません。精巧な作りと緻密なクリアランス調整技術がこの動作原理を可能にし、最高で0.01 hPa(mbar)(絶対圧)未満という優れた到達真空度を実現します。
COBRAスクリュー真空ポンプは水冷式です。それによりポンプ本体の熱分布が均一となり、熱効率と熱的安定性が向上します。温度を調整し、プロセスガスの凝縮を防止するのに十分な温度と、堆積物の形成や発火を起こさない上限温度の間にキープすることができます。
圧縮チャンバー内に潤滑剤や作動流体がないため、プロセスガスで汚染されたり、反応したりする危険性がありません。

真空システムの保護

プロセスガスによっては、真空ポンプに害を及ぼす場合があります。リスクを回避するために、プロセスガスについて熟知しておくことが重要です。吸気側あるいは圧力側に、プロセスガスから真空ポンプを守るためのコンポーネントを設置するケースは少なくありません。これは真空システムと呼ばれます。真空システムは、複数の真空ポンプで構成される場合もあります(図3)。
真空システムを安全に運転するためには、結晶化や化学反応による腐食や堆積物からシステム保護するとともに、材質の耐性を高めることも重要です。

腐食対策

真空システムや個々の真空ポンプを腐食から保護するためには、有効な方法が多数存在します。

  • まず考えられるのが、腐食性物質が真空ポンプの内部に入り込むのを防ぐ ことです。これは、上流にコンデンサーやガススクラバーを設置することで達成されます。
  • 腐食防止の手段として次に考えられるのは、プロセス流を気相で保つということです。スクリュー真空ポンプでは、特定の動作温度を設定することで、これを実現することができます。加えて、ポンプ内の凝縮性ガスの分圧を下げる目的で、ガスバラストバルブから気体を導入しプロセスガスを希釈することも可能です。そうすることで、気相で吸引し気相で排出するというシンプルなロジックに合致します。設定温度の下限は、ガスの凝縮防止に十分な高さである必要があります。上限は、ポンプに損傷が生じない温度、あるいはATEXで定められた温度を超えないように設定する必要があります。
  • 3つ目として挙げられるのは、真空ポンプに適した材質を使うという方法です。たとえば、Busch Vacuum SolutionsのCOBRAスクリュー真空ポンプは、プロセスガスが接触する構成部がすべてダクタイル鋳鉄製です。さらに特殊コーティングが施され、ほぼすべての化学薬品に耐性を備えます。

システムに流入する粒子対策

スクリュー真空ポンプの運転時には、必ずインレットスクリーンまたはインレットフィルターを取り付ける必要があります。これは、粒子が真空ポンプの内部に入り込むのを防ぐためです。スクリュー真空ポンプは作りが精巧で、クリアランスも緻密に調整されているため許容公差が小さく、吸引された粒子による影響をある程度受けやすい構造です。

ドライスクリュー真空ポンプは、特に製薬業界では、粉体原料の乾燥用途で利用されるケースが多くなっています。このような粒子も、ある程度の数ならばプロセスガスとともに真空ポンプを容易に通過させたり、プロセスの最後に排出したりすることができます。

しかし、常に粒子を吸引してしまう状況とならないよう、適切な予防策を講じることが推奨されます。各種アプリケーションに適したフィルターを、Buschでもご提案しています。

真空ポンプ/真空システムの気密性

化学分野における真空ポンプおよび真空システムには、高い気密性が求められます。爆発性雰囲気を生成しないよう、外気の流入を完全に、あるいは最小限まで封じること、また逆に内部の有毒ガスや爆発性ガスを外部に流出させないことが肝心です。

一般的に、2つの静止部の接続部からの漏れを防止するには、ポリマー製のOリングが使用されます。耐性はポリマーの材質によって決まります。したがって、Oリングをはじめとするシーリング部材も、プロセスガスに合ったものを選ぶ必要があります。

Busch Vacuum Solutionsの回転式フィードスルーに採用されている動的シールの発想は、TA Luft(空気品質管理に関するドイツの技術指示)に準拠しTÜV SÜDの認証を受けています。技術的に見て気密性のあるシーリングであると言えます。
運用上のヒント

ほとんどの用途では、プロセスを開始する前に真空ポンプを暖機運転しておくことを推奨します。そうすることで設計時の想定となっている運転温度にすることができます。

プロセス終了後は、非凝縮性の貴ガスで真空ポンプをパージし、内部のプロセスガスを完全に排気してからポンプを停止することを推奨します。この洗浄プロセスには通常窒素を使用します。

他にも、プロセスの最後に洗浄液で真空ポンプ内部を洗浄することも可能です。ポンプの温度が下がる過程で内部に堆積物が形成されるリスクがある場合、この洗浄法を推奨します。

防爆

多様なシーリングシステム、コーティング、アクセサリーを取り揃えるBuschのCOBRAスクリュー真空ポンプ は、事実上どのような化学薬品にも対応するよう構成することができます。

加えて、防爆指令2014/34/ECに適合したATEXバージョンのCOBRAスクリュー真空ポンプもご用意しています。

それ以外にも、アメリカのEX-proof韓国のKOSHAそれ以外にも、アメリカのEX-proof、韓国のKOSHAなど各国の規格に適応させることができます。つまり、この真空ポンプは、危険区域での使用や、爆発性のあるガスやベーパーの吸引が可能ということになります。

必要に応じてフレームアレスターも内蔵可能です。