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図1:ASSTECが設計し製作したワンセットフロー組み立てライン。出典:Asstec GmbH & Co. KG.

小型パネルを確実に固定する真空クランプ

ASSTEC

ASSTEC Assembly Technology GmbH & Co. KGは、人間工学に基づいた作業スペースの開発と創造を専門としています。同社の製品およびサービスは、組立、試験、出荷作業ステーションの製造用の部品供給から、大規模な工業生産向けのワンピースフローのセル生産ラインの設計と製造に至るまで、幅広く網羅しています。

テーブルトップや表面材の製造、または商品ディスプレイ、シュート、引き出し、棚の構造材の加工時に、ASSTECは通常、CNCルーターで加工された高圧ラミネート(HPL)パネルを使用します。真空テーブルにこのようなパネルを固定します。

ASSTECは、真空生成にBuschのMINKクロー真空ポンプを利用しています。一貫して高い真空を生成するこの真空ポンプで、小さなワークも確実に保持します。

ASSTECについて

ASSTECの本社があるロットヴァイルに拠点を置く各部門(工場、ツール、デザイン、実装)は、製造業のあらゆる分野において、生産プロセスの効率化を目指して取り組んでいます。また、同社はコンサルティングも提供しており、レイアウトや材料の流れの計画、加工時間の削減、人間工学に基づいた作業ステーションの設計、製造現場の管理といったトピックに関する特別なワークショップも行っています。

一言で言えば、ASSTECは、生産の迅速化と効率化に取り組みながら、人間工学に基づいた安全な作業環境の実現も進めています。ASSTECは、クライアントと共にコンセプトを開発した後、実物大(1:1)の段ボール製エンジニアリングプロトタイプモデルを使用してテストを行います。その後、各作業ステーション(図1)とその設備の設計および製造を行います。

パネルの保持

パネルを製造する際、ASSTECはさまざまな厚さのHPLを使い、CNCルーターで加工しています(図2)。このルーターは、ポリカーボネートやその他のプラスチック、アルミニウムパネルの切削や彫刻にも使用されます。
同社は、このルーターに4台の吸引ファンを使っていました。加工テーブルを4つに分割した区画のそれぞれに、これらの吸引ファンが取付けられています。それぞれの区画の寸法は、3,000 x 500ミリメートルです。こうすることで、最大2 x 3メートルの寸法のパネルを保持することができます。吸引ファンによって生成された真空は、テーブルの4分の1区画を覆うサイズのパネルなら十分保持できました。しかし、小型のワークでは保持力が小さすぎ、加工中にテーブル上で滑ってしまうことが少なくありませんでした。

システムのこの欠点に対処するために、同社はルーターの送り速度を下げてみましたが、この解決策では十分な成果が得られませんでした。ASSTECの責任者であるMarc Blessing氏は、より優れた技術的ソリューションを模索し、Busch Vacuum Solutionsに相談しました。

Buschの真空ソリューションとお客様にとってのメリット

BuschはMINK MVクロー真空ポンプを推奨しました。このポンプを使えば、既存の4つの吸引ファンは不要になります。
ASSTECはこのソリューションの導入を決定し、4つの吸引ファンをMINK MVクロー真空ポンプ1基(図3)に置き換えることにしました。この真空ポンプは、すべての区画、すなわちテーブル全体をカバーするのに十分な排気容量を持っています。さらに、従来の吸気ファンの生成する真空度は800 mbar(絶対圧)なのに対し、このポンプ150 mbar(絶対圧)と、大幅に高い真空を供給できます(図4)。
MINK MVクロー真空ポンプは、ほぼメンテナンスフリーです。
MINK MVクロー真空ポンプは、ほぼメンテナンスフリーです。ギアボックス内のオイルを2年ごとに交換するだけでOKです。真空レベルが高いため、小型のワークでも確実に固定できます。

真空クランプの物理的原理
真空テーブルを使用する理由は、言うまでもなく、ワークを確実に固定するためです。利点として、機械的な固定具が不要であることが挙げられます。脱着の時間もかからず、ワークに圧痕も残りません。ワークが確実に保持されるかどうかは、さまざまな要因ので決まります。物理的に捉えると、実際にワークを保持するのは真空ではなく、大気圧ということになります。真空システムは、大気圧がその力を最大限に発揮できるように、ワークの反対側に十分な負圧を供給しているだけです。具体的には、ワークとテーブルの間の空気を抜くことで、圧力を下げます。

圧力、面積、ホールド力
圧力は単位面積当たりに加わる力、とされており、したがって、力と面積の関数となります。(図5)。下の例は計算方法を示しています:
HPLパネルがCNCルーターの真空テーブルに配置され、加工準備が整います。パネルの寸法は500 x 3,000ミリメートルで、4分割された一画にぴったりの大きさです。残りの3つの区画は、遮断バルブで真空供給から切り離されます。

吸引ファンの保持力(800 mbar (abs.))の計算

大気圧:1,000 mbar
吸引ファンによって生成される負圧:800 mbar
木製パネルの寸法:3,000 x 500 mm
支持面 = クランプ面
3,000 x 500 mm = 1,500,000 mm2 = 1.5 m2
圧力差:
1,000 mbar – 800 mbar = 200 mbar = 20,000 Pa [N/m2]
保持力 F = p x AF = 20,000 N/m2 x 1.5 m2 = 30,000 N
= 3,000 kg


これを見ると、大気圧と吸引ファンが生成する負圧の差が200 mbarとなり、30,000 Nの保持力が生じるということが分かります。したがって、HPLパネルは3トンの重さで加工テーブルに押し付けられるということになります。
小型のHPLパネルを固定して加工したい場合、この同じ公式を使うと、保持力が減少することが分かります。ここでは、真空テーブルの空いている部分はパネル材やフィルムで覆われ密閉されていると仮定します。
寸法が150 x 150ミリメートルのHPLパネルを固定する場合は、保持力はわずか450 Nとなり、45 kgの重さでパネルを加工テーブルに押し付けるのと同じことになります。どのような作業を施すかによっては、450 Nの保持力では、パネルが確実に固定されない場合があります。
この小型のHPLパネルを、同じ条件でMINKクロー真空ポンプを使用して機械加工テーブルに固定すると、保持力は4倍以上になります。これは、大気圧と真空ポンプによって生成される真空(150 mbar)との差圧が大きくなるためです。実際の数字を見ると、吸引ファンで固定する際の力は450 Nですが、MINK真空ポンプで固定する場合は1,912 Nにまで上昇します。パネルにかかる重量が45 kgから191 kgに増加するということです。

ここまでの計算で、HPLパネルが小さければ小さいほど、真空ポンプの差圧または真空レベルが高くなければならないと結論づけることができます。
この計算が成り立つのは、加工中のパネルが載っていない真空テーブルの面が気密になるように覆われている場合のみです。気密状態になっていなければ、「漏れた空気」がシステムに吸引されることになります。真空ポンプのサイズが大きく排気速度が高い場合は、それでも必要な真空レベルには達します。しかし、真空ポンプが小さい場合には、「漏れた空気」がシステムに吸引されることによって真空レベルとホールド力に悪影響が及ぶ恐れがあります。

ASSTECは、2018年初めにMINKクロー真空ポンプの使用を開始しました。責任者のMarc Blessing氏は、それ以来トラブルもなく、真空ポンプが常に高い真空レベルを供給していることに大いに満足している、と話しています。