スマートフォンのスリム化の決め手 - 半導体チップの小型化は真空が必須

スマートフォンのスリム化の決め手 - 半導体チップの小型化は真空が必須

現在のマイクロチップの製造には、ナノメートル単位の部品も使われています。非常に小さなホコリの粒子や気体の分子の混入さえ許されない製造環境には、 真空が欠かせません。
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マイクロチップは現在、ほぼあらゆるものに使われ、 自動車から、製造工場、スマートフォン、コーヒーメーカーまで、何にでも埋め込まれています。ボタンに触れたり、画面をスワイプしたりして多くの機能を利用できるのは、このマイクロチップのおかげです。小型化が進むチップには、膨大な計算能力が詰まっています。チップメーカーは現在、主に14 nmの技術を利用しています。つまり、最小の機能ユニットのサイズが14 nmということになります。ちなみに、虫ピンの頭の直径は約100万nmです。

真空によるチャックとエアロック

14 nmに比べれば、ホコリの粒子1つであってもまるで巨大な岩です。したがって、製造は空気を濾過したクリーンルーム内で行い、室内に入る人や物は、徹底的に洗浄した上で、エアロックを通します。真空ポンプは、エアロックでの負圧によるホコリの除去にも利用されています。

クリーンルーム内はわずかに気圧が高いため、漏れがあっても、異物が内部に入り込むことはありません。クリーンルームの室内では、常に上から空気が供給され、 対応の脱気装置が二重床にあります。チップの基本素材であるシリコンウエハは、各製造工程で、真空チャックと呼ばれる素材を傷めない方法で吸着固定されます。

分子とイオン

ここまでご紹介したのは、粗引き真空の利用事例です。しかし、顕微鏡レベルの小さな構造体を作り上げるときには、高真空が必要です。例えばシリコンウエハへの金属蒸着がこれに当てはまります。高真空にすることで、使用する金属の沸点を下げることができます。また、紙のように薄いウエハの層の伝導率を損なわせる、空気分子などごく小さな異物の混入を防ぐことかできます。同じことがイオン注入にも当てはまります。イオン注入では、電界の中でイオンを加速してウエハへ集め、表面に結晶格子を形成させます。

EUVリソグラフィも、真空なしでは実行できません。比較的新しいこのプロセスでは、ウエハ表面にある特定の小さな構造体に波長が極めて短い極端紫外線を当てます。極端紫外線は、移動距離が数ミリメートルであっても大気に完全に吸収されてしまうため、 妨害されることなく照射するには、極めて高い真空が必要です。たとえば、スマートフォンをさらに薄くし、同時に性能を高めるには、このような技術が欠かせません。

半導体業界における技術ノードとは、マイクロチップに使われる回路の最小線幅を意味し、時代とともに縮小の一途をたどっています。

最初のノードは10 μmでしたが、これは今日の最先端サイズを基準とすると、庭用のホースほどの太さに相当します。大量生産の場で現在使用されているのは14 nmというサイズですが、 10 nmや7 nmという技術を採用したチップもすでに存在します。国際半導体技術ロードマップ(ITRS)は、2020年頃には5 nmに達すると予測しています。

新たな技術ノードが登場するたびに、チップの面積は約半分となっています。超小型電子回路の性能は、ムーアの法則に則って向上し、 集積回路の集積率は12か月~24か月で倍増を続け、コストは縮小を続けます。


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