40%の運用コストダウンに成功:Buschの最新真空技術を使ったウェハーのハンドリング

フランクフルト, ドイツ IHP (Innovations for High Performance Microelectronics の略)は、ドイツ、フランクフルト(オーダー)にある研究機関で、ライプニッツ協会のメンバーです。IHPの研究開発分野は、シリコン系システム、高周波集積回路、ワイヤレスならびにブロードバンド通信などです。そこで重要視しているのはビジネスとしての可能性です。その結果、半導体、自動車、航空宇宙などの産業や、テレコミュニケーション、遠隔医療およびオートメーション技術などに研究開発成果が応用されてきました。今日では、シリコンゲルマニウムの研究開発においても国際的に認知されてきております。そのIHPがクリーンルームの真空供給に選んだのが、Busch の集中真空システムでした。 導入した真空システムは完全に自動化されており、最大80機のウェハーハンドリング機器に必要な真空を供給しています。
Fig. 1: Vacuum is used to hold the wafer under the microscope for testing
Fig. 1: Vacuum is used to hold the wafer under the microscope for testing

IHPは、学術界と産業界を結ぶ橋渡しの役目も担っています。例えばベルリン・ブランデンブルク地域の応用科学分野の大学が参加する共同研究では大きな成果をあげています。こういった性格から、公的な研究機関としてブランデンブルク州及びドイツ連邦政府から資金提供を受けています。そこでは世界20か国以上から採用された総勢300名の従業員が働いています。その約半数がエンジニアと物理学者を中心とした科学者で、異分野間で提携しつつ、アプリケーションに基づいた研究を行っています。革新的な研究施設の中心となるのが、クリーンルーム棟です。ここにある面積1,000平方メートルに及ぶクラス1のクリーンルームで、 実際の産業設備と同様の条件でウェハーの試作を行い、実用に向けての可能性を分析しています。真空を利用する機器は、ウェハー製造のクリーンルーム全体で80機あります。これには、従業員がウェハーの目視点検に手動で扱う真空ピンセットなども含まれます。ウェハーを運んだり、処理を行うために指定位置に設置するためのハンドリング装置は、施設の真空ネットワークに接続されています。さらに、顕微鏡には多様な真空吸着装置(図1)が搭載され、エッチングやコーティング処理、リソグラフィーに利用されています。

フランクフルト(オーダー)のイーストブランデンブルク技術パークにある新施設に移転してきたのは1999年。それ以来使用してきた真空システムには、3台の水封式真空ポンプが使用されていました。しかし、IHPはこのソリューションに満足していた訳ではありませんでした。その理由の1つが、この真空システムが封液として水を必要とする点です。カルシウムとミネラルを除去した水を使用していましたが、これには手間とコストがかかります。2つ目の理由は、水封式真空ポンプは排気速度などの調節ができないという点です。その時々の要件に合わせて調整することができないため、エネルギーを無駄に消費することもありました。そして最後に、真空システムの信頼性です。クリーンルーム内のすべての処理工程が集中真空システムに依存しているため、同社としては既存システムに対する不安も感じていました。特に迅速、確実なスペアパーツの供給体制は欠かせない条件です。

2016年、同研究所は、最大限の効率性と信頼性を求め、最先端の真空技術の導入を検討し始めました。


図2: クリーンルーム棟に真空を供給するための真空システム

そして選ばれたのが、Busch のCOBRA NXスクリュー式真空ポンプ(図2)を搭載した真空システムです。 2016年12月、この真空システムを段階的に導入設置しました。真空ポンプを1台づつ入替え、既存の水封式真空ポンプは取り外されました。 

COBRA NXスクリュー式真空ポンプ(図3)の圧縮方式はドライで、圧縮チャンバー内は封液や潤滑油を一切必要としません。また、このポンプの採用するスクリュー技術は2本のスクリュー間でガスを補足しますが、非接触式の技術ため、 回転中にスクリューが互いに接触したり、ハウジングと接触することもありません。 非接触式の技術には、メンテナンスが不要というメリットもあります。つまり、摩耗する部品が無いため、交換の必要が生じないということです。 


図3: COBRA NXドライスクリュー式真空ポンプの断面図

設置された全3台のCOBRA NXスクリュー式真空ポンプの排気速度は制御可能なため、需要に応じた運転ができるようになりました。このため、50~60ミリバールの真空レベルを維持するために実際に必要な分だけの真空ポンプを稼働すればよいことになります。真空システムのサイズは、2台のCOBRA NX真空ポンプの100%出力で、最大負荷の運転が十分に賄える規模です。3台目の真空ポンプを予備とすることで、さらに信頼性を高めています。3台の負荷を均一化するために、制御システムを使い稼働時間が同じになるよう管理しています。制御システムは自動化され、常に必要な真空レベルをキープします。自律型の真空制御システムが施設全体を制御をするシステムに連携されており、何らかの問題を検知すると、それがトリガーとなり適宜パラメーターを呼び出す仕組みです。

真空システムは、年間を通じて24時間稼働しています。またシステムは、クリーンルーム棟の設備の一部として、圧縮空気供給、冷却水処理、ガス洗浄、電源ユニットなど、他の機器と伴に1階に設置されています。 ラジエーター、冷却装置、変圧器などのその他のシステムが2階に設置されており、クリーンルーム棟の実際の中核的な部分は3階にあります。ウエハー製造のすべての処理工程が3階で行われています。

新たな真空システムの導入からわずか数か月で、40%の運転コスト削減が達成されました。この理由としては、COBRA NXスクリュー式真空ポンプの高効率なメカニズムが挙げられます。以前の水封式真空ポンプを使ったシステムと比較し、モーターサイズが小さく、消費電力を大幅に低減できました。他にも、ニーズに合わせた排気量の制御による省電力もあります。水封式真空ポンプでは技術的な理由で不可能だった制御が、新システムでは可能になりました。さらに、封液としての水と、水の下処理と循環にかかるエネルギーコストもすべて不要となりました。このように、Busch の最先端の真空技術の採用で、IHPの望んでいた真空供給の経済性と信頼性の両方の改善が実現されました。


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