加熱なしで病原菌を排除 - 真空を利用したプラズマ滅菌なら、高温にさらす必要がありません

加熱なしで病原菌を排除 - 真空を利用したプラズマ滅菌なら、高温にさらす必要がありません

低温プラズマにより、低温でも効果的に微生物を排除できます。したがって、真空におけるプラズマ滅菌は、高温のスチームを利用する滅菌など従来の方法に替わる、迅速で素材に優しい滅菌方法です。
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医療器具は、使用前に消毒する必要があります。病院では、高圧蒸気滅菌がこの目的で広く利用されています。これに代わるのが、乾熱滅菌、過酸化水素などの有毒な薬品を使う処理、あるいは電離放射線などによる処理です。

低温プラズマのための真空

プラズマ滅菌は、この数年で利用可能になった技術であり、病原体を効果的に無害化するために利用できる、新しい選択肢です。このプロセスを真空内で実行する場合は、高温は必要なく、60℃程度で十分に微生物を殺すことができます。したがって、この方法を使うと、プラスチックや電子部品など、熱に弱い素材も滅菌することができます。これは特に、内視鏡などの繊細な医療機器に有益です。プラズマ滅菌には数分間しかかからないため、高温を利用する方法よりも大幅に時間が短縮されるというメリットもあります。化学処理とは異なり、有害な、あるいは発がん性のある蒸気や残留物が生じることがありません。

運動嫌いのイオン

プラズマ状態(第4の物質状態と表現されることもある)は、ある気体または混合気にエネルギーを加えることによって作ることができます。プロセス温度に応じて、低温プラズマと高温プラズマに区別されます。

プラズマ状態になると、気体分子がイオンと電子に分離します。このプロセスにおいて、イオンと電子を発振させるための条件をすべて整えると、高エネルギーの高温プラズマが生成されます。一方で、低温プラズマは、小さな電子のみ運動させるのに十分なだけのエネルギーを正確に供給することで生成され、電子温度は数千度まで上がりますが、一方でイオンは刺激されないため、低温が保たれます。質量の圧倒的に大きなイオンによって温度が支配されるため、全体的なプラズマは室温のままとなります。真空中では、さらに簡単に低温プラズマを生成できます。これは、密度が低くなることで分子同士の衝突頻度が減少するためです。

病原体に対して効果的

約60℃の低温プラズマが、プラズマ滅菌に利用されます。これらは、アルゴンに水素、酸素または窒素を混ぜた混合気体から、真空内で生成されます。滅菌するものをプロセスチャンバー内に置き、空気を抜きます。圧力を下げて、プロセスガスを注入し、高周波数のマイクロ波を使用してプラズマに変換します。このプロセスにおいて、荷電粒子、遊離基、および紫外光子が作られます。

プラズマは、いくつかのメカニズムを通じて滅菌を行います。強力な紫外線が微生物の遺伝物質を壊し、遊離基がその細胞組織を酸化し、そしてイオン照射で微生物を機械的に破壊します。死滅した微生物は、プラズマの腐食作用によって、同時に表面から除去されます。プラズマ滅菌は複雑であるため非常に効果が高く、従来の方法に耐性のある菌種でも死滅させることができます。さらに、この方法なら、耐熱性のあるプリオン(狂牛病の原因として有名)も不活性化し除去することができます。

ブッシュは、医療、製薬および食品業界において、幅広いプラズマ滅菌用途に真空技術を提供しています。


私たちの周りには、常に微生物が存在します。健康な人の体表や体内には1,000億以上の微生物が宿っており、食物の消化を助けたり、免疫システムの一助となるなど、ほとんどの微生物は私たちの体の一部として重要な役割を果たしています。

院内感染リスク

しかし、病気の原因となる微生物もあり、それが深刻な感染を引き起こす場合もあります。したがって、それらの病原微生物が体内に侵入するのを防ぐことが重要です。病院では、治療過程で病原微生物が体内に侵入しやすくなることから、特に注意が必要です。このため、内視鏡や手術キットなどの医療器具類は、使用前に滅菌されます。このプロセスによってバクテリアやウイルス、真菌類のみならず、芽胞や感染性タンパク質、DNA、ピロゲンも無害化されることが理想的です。


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