軽量材のクリープ成形 - 真空を使った航空機部品の新製法

軽量材のクリープ成形 - 真空を使った航空機部品の新製法

新しいアルミ合金の登場で、航空機産業では機体の軽量化が進んでいます。クリープ エイジフォーミングと呼ばれる成形技術を利用すれば、大気圧で部品を成形することが可能です。Buschの真空ポンプは、その工程で必要となる真空を生成しています。
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この技術における「クリープ」とは、材料に圧力や負荷をかけたときに発生する、ゆっくりとした変形プロセスのことを指します。たとえば、金属が「クリープ」すると、分子がゆっくりと材料の中を動き回り、結晶構造が恒久的に変化します。変形プロセスで長時間荷重をかけるため、それが理由で破損につながるケースもあります。

質量も、燃費も、二酸化炭素排出も低減

クリープ エイジフォーミングでは、前述のような構造的変化を意図的に誘発します。これは特に航空宇宙産業向けに開発されたばかりの新しい成形手法で、一般産業用途への応用がまさに始まろうとしているところです。成形に適した材質は、アルミニウム、マグネシウム、スカンジウムの合金 (AA5024) です。

この合金の強度は従来のアルミ材とほぼ同様ですが、質量は5%程軽くなっています。わずかな軽量化に思えるかもしれませんが、これにより、航空業界における燃料費および二酸化炭素排出量が大幅に削減されます。AA5024の成形には真空が必要です。モールドに板状のこの合金を載せ、隙間ができないよう縁を固定します。次に、加熱しながら、モールドとワークの間のスペースから真空ポンプを使い空気を抜くことで成形します。

「馴染む」ということ

ワークである板状の合金に大気圧が作用し、時間の経過とともにモールドに沿って「クリープ (徐々に変形)」し、新たな形状に「馴染み」ます。この方法は多くのアルミニウム合金に適しており、特に航空宇宙産業向けの曲面構造物製造において、材料成形の新たな可能性を示すものです。他の方法と比べて費用対効果が高いだけでなく、プレスや圧延に比べてワークのスプリングバック (元の形状に戻ろうとする力) が少ないというメリットもあります。また、クリープ エイジフォーミング成形機は、航空機製造においてよく使われる「延伸機」よりもはるかに小型です。さらに、他の手法と比較し省エネで、発生する廃棄物の量は少なく、仕上がりの精度が高いという利点があります。溶接された成形品でも、このアプローチを利用すると溶接部に悪影響を及ぼすことなく再成形することができます。Buschはクリープ エイジフォーミングに適した高効率の真空ポンプを提供します。

アルミニウムは、地殻に存在する最も一般的な金属であり、 ほぼすべての金属、そして多くの非金属と組み合わせ、合金を作ることが可能です。アルミ合金は、多くの場合、スチール同等の強度をもちながら密度はわずか3分の1で、それに比例し質量が軽くなります。アルミニウムは軽くて丈夫な上に、入手しやすいことから、航空機の製造には理想的な材料と言えます。

さらに、さまざまな用途に合わせ、適合する合金を作ることもできます。これは何を加えるかによって、特性を大きく変えられるからです。たとえばマグネシウムを加えると、耐食性と強度に優れた合金になります。チタニウムとホウ素を組み合わせると、材料の粒状構造がより細かくなります。レアアースに分類される金属、スカンジウムは、アルミニウムの弾性を向上させる役割を果たします。そのため引張強度の高い合金になります。このように、さまざまな航空機部品の異なる要件に合わせて、理想的な合金を選択することができます。


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