宇宙の基本相互作用の発見 - 宇宙探査における真空技術

宇宙の基本相互作用の発見 - 宇宙探査における真空技術

地下2,100メートルのところで、SNOLABの物理学者たちが、微小で見つけにくい宇宙の構成要素「ニュートリノ」の調査を行っています。
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ニュートリノとは、ほぼ光と同じ速度で宇宙空間を移動している、電気的に中性な素粒子です。電荷を持たないため、物質とほとんど相互作用せず、実質的に遮られることなく物質を通過することができます。このため、移動距離が非常に長く、地球から最も遠い銀河から地球まで到達することができます。しかし、見つけにくい性質のため、研究はとりわけ困難です。

閃光による検出

これらの微細素粒子を捕まえるために、研究者らは地下に潜っていきました。SNOLAB物理研究所は、カナダ・オンタリオ州サドバリーのニッケル鉱山にあります。ここでは、科学者たちが5,000平方メートルのクリーンルームで研究を行っています。この研究室は2,100メートルの岩の層で宇宙放射線から守られており、この岩の層を通過できるのはニュートリノだけです。施設の中心に、12m径のアクリル製球体タンクで構成されたニュートリノ検出器があります。

現在、SNO+という名称で実行されている実験用のこのタンクには、炭化水素、直鎖アルキルベンゼン(LAB)からなる特殊な液体が800トン充填されています。この液体は、電離放射線によって紫外線を放射します。その後、紫外線が液体に溶けた色素を刺激し、青色の蛍光色を発します。液体を通過する際、ニュートリノが相互作用を引き起こすのに十分な近さまで原子核に近づくと、小さな閃光を放ちます。タンクを囲うよう配置された高感度センサーによってこれらが検出されます。

この素粒子を確実に検出できるよう、望ましくない物質はすべてLABから排除しなければなりません。これは、真空技術を使って行われます。真空ポンプを利用して、クリーニングシステム内で20ミリバールの負圧を発生させます。238度の温度では、多段蒸留プロセスにより、どんな小さな重金属も液体中から除去されます。その後、これもまた真空下で、ストリッピングカラムと呼ばれるカラム内の液体に水蒸気と窒素を供給します。これにより、気体のラドン、クリプトン、アルゴン、酸素が除去され、液体の含水量が調整されます。真空ポンプの排気口にはコンデンサーが設置され、水蒸気が確実に回収されます。ここでクリーニング工程からの排ガスが冷却されて液化され、回収容器に入ります。

ニュートリノ研究がノーベル賞受賞

新しいSNO+実験では、元々のSNOプロジェクトでタンクに充填されていた重水に替えてLABが採用されています。これらの最初の研究に関し、SNO実験の責任者であるアーサー・マクドナルド氏は2015年にノーベル物理学賞を受賞しました。1999年から2006年まではマクドナルド氏は、重水を使って太陽における核融合で生じるニュートリノを調査していました。しかしその結果は、それまでニュートリノを質量ゼロと想定していた物理の標準的なモデルの予測と合致しませんでした。

そのかわりとして、実験により発見された誤差がニュートリノ振動という代替理論によって説明されました。3種類のニュートリノ(電子ニュートリノ、ミューニュートリノ、タウニュートリノ)は、互いに入れ替わることができます。ただしこれは、どれだけ小さいとしても質量がある場合にのみ可能となります。
重水を使った元々の実験と比較すると、LABとのニュートリノの相互作用の方が大きな光が発せられます。新たな研究の主目的は、ニュートリノを放出しない二重ベータ崩壊という異論の多いプロセスを調査することです。一方、液体LABは陽子-電子-陽子(PEP)太陽ニュートリノの調査にも使用することができます。その他に、地中の放射性崩壊プロセスによる地球ニュートリノ、ならびに核融合反応による原子炉ニュートリノの検出も、研究の目的に含まれています。また、銀河系で超新星が発生すれば、超新星ニュートリノを検出することも可能です。これらのニュートリノの計測により、研究者たちは、宇宙の基本相互作用に関する見解を深めていきたいと考えています。

SNOLABでは2012年からブッシュの真空技術が利用されています。


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